鹿児島県内の在宅医療機関の平成29年診療実績を表示しています。

 

マップ上表示されている数字は、各医療機関の「自宅でのお看取り数」です。

 

 

在宅医療は、患者さんの望む自分らしい生活を最期までサポートすることができる医療です。その意味でも、「最期まで自宅で診ることが出来ること」こそが、その医療機関の在宅医療の診療実績を最も表現しているものではないかと考え、本サイトでは「自宅でのお看取り数」をマップに表示しております。

 

各医療機関をクリックすれば、年間の「在宅患者数」「看取り患者総数」「訪問診療回数」「往診回数」などその他のデータも見ることができます。


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出展:厚生労働省九州厚生局より開示された各医療機関の「在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院に係る報告書(7月報告)平成30年」より作成


この在宅医療実績マップは、全国の在宅療養支援診療所が厚生労働省地方厚生局に毎年提出する報告書に記載されている在宅患者数・看取り数などをグーグルマップ上に表示して、地域の在宅医療資源の情報を知りたいと希求している患者さん・ご家族含め全世界にweb上で無料公開しようというものです。

報告書自体は、厚生局に情報公開請求すれば手に入りますが、全て紙の情報で全国1万5千件の在宅クリニックの情報をデータ化するのにはかなりの労力が必要です。

 

そもそもこれを考えたきっかけは、ある患者さんに言われた一言でした。

「在宅医療を受けようと思ってるんだけど、ネットにも本にも地域包括ケアセンターにも情報があんまりないんですよね。どのクリニックが何人くらい在宅患者を診てるのかとか、最期まで自宅で診てくれるのか、施設につよいのか、最期は病院に入院する患者が多いのか、そういうところが全然わからない。結局はケアマネの紹介とか、知人のツテとかそんなところで選ぶしかなくって…。こういうの、なんとかなりませんか?」

 

僕はこの言葉に衝撃を受けました。

事実、在宅医療クリニックがどれくらい規模で医療を展開しているか、何人くらいの在宅患者を診療しているのか、自宅での看取りまでやるのか、最後は病院で看取ることが多いのか・・・周囲の医療機関を見てもかなりバラつきがあるし、それは自分の周りならなんとなくわかりますが、他の地域のことは全くわからないのです。

 

もしこうした情報が公開されれば、

 1,在宅医を探している患者さん・ご家族
 2,そこがどんな在宅医療を提供してくれるのかを知りたい専門職(訪問看護st, ケアマネ、病院の退院支援MSWなど)
 3,地域の在宅医療の提供実態を知りたい行政
 4,新規開業を考えている医師

などにとって非常に有用な情報を提供できるのでは?と思った次第です。

 

特に、いざ在宅医療が必要となった段階の一般市民にこうした情報が全くわからないというのは、凄まじい「情報の格差(非対称性)」だと思います。この「情報の非対称性」を、在宅医療側も黙認し、逆に利用しているような状況かもしれません。

そもそも医療とは、国民の健康や生活のための「公共サービス」と言う側面が強い業界です。だからこそ、利潤を追求する株式会社は原則として禁止されています。

ですので、本当の公であるのならこのような情報の非対称性はできれば医療提供側から進んで解消すべきで、市民の利益のために、職業的倫理・職業的規範に則ったプロフェッショナルオートノミーを存分に発揮すべきところだと思います。

ということで、まずは僕のような医療提供側の立場の人間から今回の情報公開を試みたいと思ったのです。


今後の展開にご期待下さい。