
「コロナ」から生活を守る。
こんにちは、医師&医療経済ジャーナリストの森田です。
今年の4月にこんなnoteを書きました。書き出しはこう。
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先日ある友人からこんな言葉を聞いた。
「人は家畜になっても生き残る道を選ぶのか?」
一人の医師としてこの言葉を聞いたとき僕はすべての思考がストップしてしまった。友人との会話中でなければ泣いてしまったかもしれない。
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元記事はこちら↓↓
実は、この「人は家畜になっても生き残る道を選ぶのか?」という言葉を投げかけてくれたのが、この本「健康から生活を守る」の著者・大脇幸志郎先生だったのです。
その時から、この先生の視点はすごいな〜!!と思っていたわけですが、この本を読んでその思いを再認識しました。医学的データのオモテも裏も知り尽くしているからこそ、その効用も限界もしっかりと認識されていて、そしてその事実をとても人間的で温かい文章で伝えてくれる。大脇先生、半端ないです。
こういう本は、EBMとかエビデンスとか、そういう科学的で格好良く見えるものに触れる時、特にそういうものに触れていわゆる「エビデンス厨」になりやすい若い時期に読んでおくべき本ですね。いや、若手だけでなく、「ついつい善意から医学的正解を押し付けてしまいがちな我々医療従事者」の全員に読んでいただきたい。
内容は大体こんな感じ。
・ナッツは痩せる。赤肉と加工肉は大腸がんを増やす。トランス脂肪酸は心血管疾患を増やす。そんな話は全て、事実の半分に過ぎない。肉を食べても食べなくても、大腸がんにはなるかもしれないしならないかもしれない。統計的に若干の差があったとしても、自分一人の人生で実感できるほどの差ではない。それよりも長年にわたって食べ物に気をつける負担の方がはるかに大きい。にもかかわらず、都合の良い面だけを取り上げれば、あたかも世のため人のために役立つ知識のように見えてしまう。
・根拠とやらをでっち上げるのは実にたやすいことだ。
・天然痘の根絶、ビタミンC、抗生物質、X線、クロルプロマジン、フルオロウラシル、イマニチブ…ここには書ききれないほどの進歩が、現代の私達を病気から(ある程度)解放した。だが、そういう種類の業績はまれにしかない。言葉を飾って手柄を大きく見せているもののほうがはるかに多く、そちらはファッションと言わなければ説明がつかないのだ。ファッションだから、権威付けに熱を上げるし、他人と競うことにも夢中になる。正しい医学とやらを広めたい人は悪者を見つけるのが大好きだ。反ワクチン、水素水、血液クレンジング。確かにどれも嘘には違いない。筆者もワクチンは打ったほうがいいと思う。けれどもこういうニセ医学の大半は毒にも薬にもならないものだ。(中略)たいした害ないものにいちいち目くじらを立てるのは、「正しい医学」も大して違わないと白状しているようなものだ。
以上、本文より抜粋
ゾクゾク来ますね。心当たりはありませんか?僕は大いにあります!(-_-;)
そしてまさにコロナ禍の今、この問題提起は非常の大きな意義があるでしょう。
手洗い・アルコール消毒・ソーシャルディスタンス・ロックダウン…これらが感染拡大を〇%減らすとか、もっともらしいデータを積み上げ、『日本全体の経済をストップさせる』という歴史上かつて経験したことのない絶大な強制力を我々医療従事者は発揮してしまいました。
その結果はどうだったのでしょう?
そこに統計的に若干の差があったとしても、自分一人の人生で実感できるほどの差はあったのでしょうか?そしてそれはしっかりと検証されているのでしょうか?「あのときはそれで仕方なかった」などと自分たちに都合のいいように解釈して、ろくに検証もしていないのではないでしょうか?
そう、僕ら医療側の人間は、医学や科学やデータの笠を着て、誇大な幻想を社会に提供してしまっていたのかもしれない。医学定期正解というよく切れる刀で、患者さんの生活を、もっと言えば社会全体を「健康」で支配しようとしていたかもしれないのです…。
その薬・検査・手術・予防…100%近く効くのか、50%くらいなのか、10%なのか、はたまた1%しか効かないのか…。そもそものリスクはどれくらいだったのか…。
そんなことを言語化出来ずに悶々としていた僕にとって、「健康」から生活を守る、というこの本はもうなんというか、複雑な形の心の穴にピッタリハマってくれた最期のワンピースみたいに感じられたのです。ぜひぜひ皆さんにも読んでいただきたい!
コロナ禍の今、エビデンスに振り回されがちな僕ら日本人全員が、「生活を取り戻す」ために必要な本ですね。
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