一つの株が一つの波を形成する

 

2021/10/22

 

 先日、沖縄中部病院・感染症内科の高山義浩先生と対談させていただきました。

テレビ等で感染対策を訴えておられる高山さん。
かたやこちらは医師の中でも感染対策慎重派として異端のレッテルを貼られがちな森田。壮絶なバトルを期待されていた方も多かったと思いますが(笑)、対談は終始なごやかで、楽しい感じで終了しました。

詳細は動画をご覧いただくとして、今回はその冒頭の、「今の感染収束はなぜ起きているのか?」

という話題についてお話したいと思います。

 

高山さんいわく、

「沖縄に関して言えば、感染者の多い若者でのワクチン接種率がまだまだ高くないからワクチンは大して感染収束に寄与していないだろう。」

とのことでした。

これは、沖縄だけでなく全国的にも言えますね。

以下の通り、感染者数が圧倒的に多い20代でのワクチン完全接種率はまだ50%程度です。

○年代別検査陽性者数

スクリーンショット 2021-10-22 11.38.54


https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/

 

○ワクチンの年代別接種率

スクリーンショット 2021-10-22 11.37.35

https://www.kantei.go.jp/jp/content/nenreikaikyubetsu-vaccination_data.pdf

 

10月の下旬のいま、全国の新規陽性者数は一日に200−300人。8月のお盆の頃は毎日2万5千人超の新規陽性者が出続けていたんですから、とんでもなく減っていることがわかります。

じゃなんでこんなに減ったの?

という問いに対して高山さんはこう言います。

「感染が拡大する理由が単一でないのと同じで、感染が収束する理由も単一ではないが、若者が会食・イベントなどかなり控えてくださったことが大きな理由の一つではないか」

と。

これに対し僕は

「一つの有力株が一つの波を形成する。」

これが大きな理由ではないか?

という考え方を提示しました。

というのも、国立感染症研究所発表の資料では、感染の波と株の関係がこういうグラフで表現されているのです。

スクリーンショット 2021-10-21 12.20.53


https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000845992.pdf

 


これを見ると、これまでの第1〜5波までのすべての波が一つの有力株によって形成されていることがわかります。しかもそのパターンはおよそ2ヶ月で拡大し、その後2ヶ月かけて収束する。おおよそそんな感じのパターンに読み取れます。

ということで、

 

今回もそのパターンだっただけなのでは?

 

ということですね。


ただ、僕の見解はいわゆる帰納的な過去のパターン認識です。
たしかに医学においては演繹的な仮説より帰納的な統計事実の方が重視されるものですが、かといって「なぜそのパターンになるのか」もやっぱり気になります。

そこで、こちらの論文がそのパターンになる演繹的な理由付けをしてくれそうな気がしています。これは、あのノーベル賞の山中伸弥先生の京都大学iPS細胞研究所から出た論文です。


「加齢やサイトメガロウイルス感染が新型コロナウイルス反応性キラーT細胞に与える影響」
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/210823-150000.html

この論文の冒頭には

ポイント
・「新型コロナウイルスに反応する記憶型T細胞(交差反応性T細胞)が未感染の日本人においても確認された」

とあります。

これはつまり、過去に旧型コロナウイルス(普通の風邪ウイルス)に感染したときの免疫が新型コロナに反応している(これを交差免疫という)、ということでしょう。

もしかしたら、日本では過去の風邪で得た旧型コロナの免疫が広く国民に獲得されていて、新型コロナウイルスが拡散しても多くの人は検査に出るか出ないかくらいの軽症・無症状で済んでしまう…およそ2ヶ月かけて全国に広まり切ったら、その後は収束に向かう…みたいなイメージでしょうか。

ま、仮説ですけど。
とはいえ、この仮説だと上記の

「一つの有力株が一つの波(2ヶ月で拡大し2ヶ月で収束)を形成する。」

をうまく説明してくれるんですよね。
ていうか、これ意外の説だとそんなにうまく説明できないので、(多くの感染症専門家が感染収束の理由の説明は難しいと言っていますし…)消去法でこれを採用してもいいのでは?とも思います。

ま、国民の健康が左右されるのですから、消去法みたいな消極的理由だと弱いかもしれませんが、、、

とはいえ、感染対策をダラダラ続けることは、孤独・自殺の増加など別の意味で国民の健康を阻害します。経済にも大きな打撃を与え、子供の教育にも甚大に影響します。仮に過去の免疫記憶が今の日本人を守っているのだとしたら、感染対策を徹底している子どもたちは今、免疫をつけていく機会を奪われているのかもしれません。これが将来の健康にどう響くのか、それもわかりません。

そういう意味では、帰納的にこれだけデータが揃っていて、消去法でも理屈が通るような理論があるのなら、感染対策を見直すことも日本にとってはとても大事な選択なのではないか、と個人的には思っています。

 

 

高山さんとの対談はこちら↓

高山義浩 vs 森田洋之 感染対策か?経済か?ぶっちゃけトーク Morita`s BAR#3

 

 

 

自分の人生の主導権を、コロナにも医療にも奪われないために。

 

画像1

 

新型コロナの感染拡大では、「医療崩壊」の危機が叫ばれた。
しかし、病院数も病床数も世界一多い日本で、なぜそんな事態に陥るのか。
そこには、「世界最高レベル」と称される日本の医療が、私たちの健康と幸福につながっていないという、根深い問題があった――。
著者は、財政破綻の結果、市内にひとつしかない病院がなくなるという「医療崩壊」が起きた夕張で地域医療に従事。
その経験を踏まえ、コロナ禍で露呈した日本の医療の問題点を明らかにする。

■病床が多いと平均寿命が延びる
■全国どこでも同じような医療が受けられる
■医師が忙しすぎるのは医師不足だから
■医療も市場原理に任せるほうがうまくいく
■地域の病院は減らしてはいけない
■公立病院の赤字は税金の無駄遣い
■病院がなければ高齢者は幸せに生きられない
↑↑↑↑↑↑
知っていましたか。以上7つはすべて「大いなる誤解」です!

〈目次〉
第1章:コロナ禍で起きた「おかしなこと」
第2章:人はウイルスとは戦えない
第3章:各国のコロナ対応、その背景と結果
第4章:日本の医療をめぐる7つの誤解
第5章:医療崩壊した夕張で起きたこと
終章:医療に私たちの人生を明け渡さないために

 

ご購入はこちらまで(Amazonリンク)
↓↓

スクリーンショット 2021-03-15 15.23.57