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読むだけで『腰痛』が治る!は本当か?〜噂の本『幸せの腰痛学校(伊藤かよこ著)』を読んでみた〜

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読むだけで『腰痛』が治る!は本当か?〜噂の本『幸せの腰痛学校(伊藤かよこ著)』を読んでみた〜

森田 洋之

 

 

 

こんにちは森田です。

 

 

 

僕も40代も後半になりまして体力の衰えを感じることも多くなってきた今日このごろですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

 

さて、表題の「読むだけで腰痛が治る!」と話題の『人生を変える幸せの腰痛学校(伊藤かよこ著)』

 

ですが、こちらの本、Amazon レビューも100本以上つくくらい売れている本だそうで、しかもそのレビューの★も5つ星のうち4.6とかなりの高評価が付いてるんですね。

 

でも…まさか「読むだけ」で腰痛が治るなんて……。

だったら整形外科も鎮痛剤もいらないじゃないか!

 

とお思いの諸兄も多かろうと思います。

 

ま、僕もそんな思いも無きにしもあらずで読んでみたんですが……

 

不覚にも結構考えさせられる内容だったので、こちらを今回はみなさまにご紹介したいと思います。

 

 

 

まずこの本、結構エビデンスに基づいた記述が多い。

 

例えば

 

 

椎間板ヘルニアは痛みの原因ではない?

 

という部分。

 

え?椎間板ヘルニアって腰痛の原因じゃないの?

 

 

…じつは、こんな論文があるんですね。

 

 

「痛みのない人の76%にMRIで椎間板ヘルニアがあった。椎間板ヘルニア自体が痛みの原因として説明できない可能性が高い」 

 

Boos NRieder RSchade VSpratt KFSemmer NAebi MThe diagnostic accuracy of magnetic resonance imaging, work perception, and psychosocial factors in identifying symptomatic disc herniations.   1995 Volvo Award in clinical sciences.  1995 Dec 15;20(24):2613-25.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8747239

 

 

 

お〜!痛みのない人にもヘルニアってあるんだ!なるほど・・・。

 

 

これを見ると椎間板ヘルニア→腰痛必発!というわけではなさそう。

 

 

 

 

その他にも

 

 

 

慢性腰痛には運動療法と認知行動療法が効果的

 

 

という部分。

 

これも日本整形外科学会・腰痛学会作成の腰痛ガイドラインにしっかり載ってるんですね。

 

 ■日本のRCTで、運動療法と薬物療法を比較したところ、腰痛関連QOLは運動療法で明らかに良好。慢性腰痛に対する運動療法の効果を否定する論文はなく、保存的治療の一つとして運動療法は強く推奨される。

 

腰痛診療ガイドライン 2012 , p.49(日本整形外科学会・日本腰痛学会 、編集:日本整形外科学会診療ガイドライン委員会・腰痛診療ガイドライン策定委員会)
https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/LBP/05_Ch4_LowBackPain.pdf

 

 

 

 

 

■腰痛に対し、認知行動療法が有効であるとする多くの報告がある。

 

腰痛診療ガイドライン 2012 ,p54-55(日本整形外科学会・日本腰痛学会 、編集:日本整形外科学会診療ガイドライン委員会・腰痛診療ガイドライン策定委員会)

https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/LBP/05_Ch4_LowBackPain.pdf

 

 

 

お〜、なるほど。

 

 

 

たしかに、慢性腰痛の原因は「椎間板ヘルニア」一択じゃないかもしれないし、その治療法も病院や医師頼みの「薬」や「手術」だけじゃないのかも。。

 

 

 

 

◯痛みや症状を増幅する「ノーシーボ効果」

 

 

そいういえば、先日こんな事がありました。

 

うちに子供にちょっと心配な症状があって、それを親の方も心配して、

 

「大丈夫?大丈夫?」

 

ってずっと言ってたら、なんだか子供の方もその気になっちゃって、

 

「なんか具合悪い」と言い出したわけですよ。で、しばらく寝てたんですが…

 

試しに薬を飲ませたら、

 

「なんか治ったみたい」と。

 

 

!さすがの名医!

 

…なんてそんなわけなくて、飲ませたのはこれなんです。

 

 

 

 

 

ご存知「プラセボ」です・・

 

つまり偽薬。薬効成分が入ってないやつですね(笑)

 

 

 

「プラセボ効果」とか「プラシーボ効果」とか聞いたことないですか?

 

 

実はこのプラシーボ効果、結構あなどれないんですよね。

 

つまり、医師が薬を出すと、それだけで脳内の痛みや症状が軽減しちゃうらしく、結構効いちゃうことがよくあるんですね。

 

だからこそ新薬の効果の有無を確かめる臨床試験では、「薬を飲んだ人」「飲まなかった人」の比較では片手落ちで、「偽薬を飲んだ人」と比較する必要があるとされています。その薬の効果が本当の薬の効果でなく、プラシーボ効果である可能性も大いにあるからです。

 

 

 

…ちなみに、上の写真のプラセボ。Amazonで売ってます(^^)

(僕もAmazonで買いました) 

↓↓

 

 

 

で、ここからが重要なんですが、実はその逆の「ノーシーボ効果」というのもあるんですね。

 

つまり痛みや症状の事ばかり考えていると、脳内で痛みや症状がどんどん増幅されていってしまうというものです。

 

「プラシーボ効果」と同様に、こちらも結構な効果があるらしく、、、、

 

つまり、うちの子の場合、薬でよくなったワケでもなければ、、、実はそもそも症状なんてあったのかなかったのかもわからなかった。親の心配や声掛けで、ちょっとした症状が子供の脳内で増幅されていただけかもしれない。

 

そもそもない痛みや症状を周囲の環境が勝手に作り出して、そして薬で直したふりしたりして。。なんだかな〜、って(^_^;)

 

 

 

 

ちなみにこういうことは特に高齢者診療ではよくあります。

 

高齢者施設に入所してたりすると、ご飯も上げ膳据え膳だし、日中もたいしてやることもないので、腰や膝の痛みばっかり考えちゃうんですよね。

で、脳内でそれがループになって増幅されていく→薬がどんどん増えていく…

 

一方、背骨がバリバリに曲がってて、MRIでは圧迫骨折も椎間板ヘルニアもバリバリにあって、いやもうそれどころじゃなくどこがどの骨かわからないくらいに背骨が変形しちゃってる婆ちゃんなんかも、自宅で元気に庭の畑の草取りしてたりします。

彼女たちに共通してるのは、

 

 

「痛み」はあるけどそこに注目していない

 

ということです。

 

上げ膳据え膳で日中やることがないと、そこに注目しちゃうのかもしれないですね(^_^;)。

 

 

 

 

 

あと、この本で一番心に残ったのはこの言葉。

 

 

一病一因というのは思い込み。実際は一病多因で、原因のすべてを正確に知ることは出来ない

 

 

 

これは、日々の診療で本当によく思うことです。

 

 

もちろん、インフルエンザはインフルエンザウイルスが原因だし、交通外傷は交通事故が原因です。

 

でも、そうやってこれが単一の原因!ってわかるものって案外少ないんですよね。

 

糖尿病も高血圧も、 さらに言えば「風邪」から始まって「がん」に至るまで…

 

なんでそうなるのかの原因は一つに限定できません。

非常に複雑な多因子によって確率論的に決定されるものなのです。

 

 

椎間板ヘルニアも、圧迫骨折も、それがあるから必ず症状が出るわけではない、と考えると、慢性腰痛の場合も非常に多因子の要因で形成されるものなのかもしれません。

 

どうせわからないのにその原因に着目しても…あまり意味がなさそうだし、また背中が曲がっても自宅で畑に出てる婆ちゃんのように、症状に着目しない練習をしてみてもいいかも。

 

その練習をするのが、この「人生を変える幸せの腰痛学校」という本なのかもしれません。

 

というわけでこの本、「薬」みたいな副作用もないでしょうから、ダメ元でもいいから試してみてもいいんじゃないかな〜?と思いました。

 

 

 

ちなみにこの本、そういう大事なことが、なんと『小説』 の形式 で書かれているので、本当にスラスラ読めます。

何かを伝えたいとき、こういう手段もあるんだな〜!って、その辺もととても勉強になりました。

 

ぼくにとっては、そういう意味で一番勉強になりましたね(^_^)。

 

 

 

 

 

ということで今回は以上。

 

 

 

 

以下、リンクです。

 

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