インフルエンザは今年もゼロ行進

インフルエンザは今年もゼロ行進

2021年11月22日 16:32

 

 

こんにちは、医師・医療経済ジャーナリストの森田です。

最近はコロナもとりあえずは落ち着いてきて一安心と言ったところですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

今回はコロナではなく、表題の通りインフルエンザです。

 

ご存知と思いますが、去年のインフルエンザはほぼゼロでしたね。

いままで毎年必ず、冬の渡り鳥のように必ず訪れていたインフルエンザが、去年はパッタリとゼロ行進だったのは記憶に新しいところ。

 

では、今年のインフルはどうなのでしょうか?

 

さっそくデータを見てみましょう。

 

東京都のインフル流行具合がこちら。

 

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出典↓

 

 

まだまだシーズン本番とは言えない季節ですが、それにしてもゼロ行進です。

例年なら少しずつ出てくるくらいの時期なんですけどね。

 

全国統計がこちら。

 

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出典↓

 

あのゼロ行進だった去年でも少しは発生していたインフルエンザが、今年は本当にずーーっとゼロなんです。

この感じで行くと、

 

今年もゼロ行進が続くのでは…?

 

なんて思えてきます(あくまでも統計を見ての予想で、根拠は薄いです)。

 

 

では、なんでインフルエンザがこんなにゼロなのか?

 

一応2つの説が有力のようです。

1つは


・みんなが手洗いとか消毒とかの感染対策を徹底したのでそれで抑えられた?

 

という説。

2つ目が

 

・新型コロナウイルスが国中に蔓延していて、「ウイルス干渉(ウイルス同士の縄張り争い)」でインフルが負けていたのでは?

 

という説です。

 

たしかに手洗いや消毒など、国民みんなで頑張りましたよね。

なので、それで感染が減った!

…と思いたいのはやまやまなんですが、どうも他のウイルスの動向を残念ながら見るとそうも思えない…

というのも実は、RSウイルス感染症がこの夏、過去最大の大流行を記録したのです。

 

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出典↓

 


この時期は、日本全国で新型コロナの過去最大の第5波を記録していた時。

日本人みんな、必死で感染対策していましたよね。

その時期にRSウイルスが過去最大の感染!

ということは、少なくとも我々が頑張った「手洗い・消毒」はRSウイルス感染拡大の防止にはあまり効果がなかった、ということでしょう。

 

ちなみに、同じ伝染性のウイルス疾患である手足口病については、去年も今年もずっとゼロで、やはり感染対策の効果?と言われていたのですが…いまになって流行の兆しが出てきています。

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出典↓

 

何なんでしょうね…?

こういうデータを見るとやはり、

・みんなが手洗いとか消毒とかの感染対策を徹底したのでそれで抑えられたのでは?

の説は説得力がいまいちに思えてきます。

 

ということで、消去法ですが

・新型コロナウイルスが国中に蔓延していて、「ウイルス干渉(ウイルス同士の縄張り争い)」でインフルが負けていたのでは?

 

という説が有力になるでしょう。

 

え?新型コロナが国中に蔓延していた?

 

意外ですよね。でもこう考えると、第5波が急に収束していった理由もうまく説明がつくのです。

実は、新型コロナのこれまでの5回の感染の波。

一つ一つの波に、一つの有力株が対応しているのです。

 

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出典↓

 

一つの有力株が出現して、1−2ヶ月かけて国中に広まる(多くの人は自然免疫で駆逐され、一部の人に感染し、更に一部の人が発症する)と、その後また1−2ヶ月かけて消えていく。

このグラフは、そんな感染の過程を綺麗に描写しているように思えます。

 

とはいえ、この「ウイルス干渉」理論にも疑問はあります。

そもそも、コロナが流行っていたこの夏、それでもRSウイルスは流行したわけで、この2ウイルス間には縄張り争いはなかったのか…?

また、今、コロナはかなり勢力がおさまっていますが、ということは、縄張り争い的にはインフルが顔を出してきてもおかしくはない…?

 

色々考えると、結局「今の医学ではちょっとウイルスの動向の本態は今の医学ではよくわからない…」ということになるのでしょう。

 

感染症学的には…とか免疫学的には…とか色々と議論はあるのですが、そうしたウイルスとか細胞レベルのミクロからの演繹的な理論では「結果としての感染実態」をほとんど説明できなかった2年間だった、と僕は思っています。

 

今わかっている医学以上の要素が強いのでしょうね。

 

 

だって、これまで5回も感染の波が来たのに、それらがすべて欧米に比して「さざなみ」だったわけですから、経験的・統計的に何らかの「今わかっている医学以上の要素」(ファクターX?)で日本はコロナに対する免疫が強かった、と考えるのが普通の思考なのではないでしょうか。

 

 

 

 

(手塚治虫著、ブラックジャックより)

 

 

 

まあ、とにかく、現状ではインフルもゼロだし、日本では奇跡的にコロナも収束しているし、現状で良しとしましょう。

なんとかこのまま冬を越してくれたらいいですね。

 

 

 

以上、「インフルエンザは今年もゼロ行進」でした。 

 

 

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